2014年10月22日水曜日

アニメーターは才能職です

アニメーターは才能職です

 まだその言葉の本質を理解できない若いアニメーターたちに言ってはいけない、危険Wordですね。

 わたしが駆け出しのアニメーターだった頃ですが、幸運なことに、周囲には天才といわれるアニメーターが多くいました。

 その当時から長い時間が経ったけれど、いま思えばわたしが眩しく仰ぎ見ていたあの天才たちは、当時まだ三十代前半から半ばといった若さでした。だがその年齢ですでに完璧な技術をものにしていた。非の打ち所がない画力と爆発的な速さを兼ね備え、その上で後輩たちを率い教育していく心構えと能力も持っていましたね。

 他の追随を許さない突出した能力、これが天才といわれることの条件だろう。わたしは天才たちの「足下くらいには及びたい」(変な日本語)といつも思い毎日歯を食いしばってきたけれど、天才たちの当時の年齢をすでに追い越した時点で、足下に指1本さえかけられていないことを認識した。そして一生かかっても天才たちの30歳時点の足下にさえ到達できないだろうことを確信せざるを得なかった。

 わかりやすい例が天才ピカソですね。現代絵画の画家なので、資料がたくさん残っています。
 これはピカソ8歳時点のデッサン画。




こちらは有名な絵なので皆さんも一度くらい目にしたことがあると思います。ピカソ14歳時点での作品です。

 わたしが一生をかけて絵を描いても、永遠に8歳のピカソに及ばないのです。「才能」のなんて恐ろしくて残酷なこと。わたしは画力において、8歳のピカソに膝を折るしかないのです。

 しかしこれは絵を仕事に選んだ時点で、受け入れざるを得ない現実です。受け入れた上でどうするかということが「仕事」で絵を描くということなのだろうと思う。


 アニメーターは才能職です。スキルを積み上げていくスキル制の作業ではあるけれど、アニメーターの根本は最初から最後まで才能がすべてです。非常に才能ある同世代のアニメーターたちも同じことを言っていたから間違っていないと思います。

 新人アニメーターにはこういうことは直接言いません。学生にもいいません。才能がすべてなら、自分たちはがんばっても無駄だと、短絡的に彼ら彼女らは勘違いするからです。そうじゃないんだけれどね。そこがピカソのような芸術家と、わたしたち商業絵描きの大きな違い。
 でも経験が浅く、技能も低い彼女ら彼らにはまだ理解できない水準での話です。


 若い新人アニメーターたちが、わたしと同じ視点を持っているわけがありません。彼ら彼女らがその才能を開花させるにはもう少し時間が必要で、いまを必死に乗り越えてからの話です。

 若いアニメーターたちはみんな、アニメーターになった時点である程度の才能は持っています。そこに磨きをかけるかどうかで、本当の天才アニメーターになれるかどうかが決まってきます。

 そのあたりは次回「天才なんか恐くない(仮)」という回でお話します。

 若いアニメーターのみなさんは、まず目の前の仕事に真剣に取り組み、確実に技術を獲得していくといいですね。焦っちゃダメですよ。心配ないということを、わたしが数式を解き証明してみせます。

 間に「作監心得」が入るかもしれないけど。
 仕事で構成を決めて書いている文章ではないので、その日の気分で内容が変わるのは大目に見てよね(笑)