2014年12月14日日曜日

アニメーターの才能 その見つけ方 【新人研修・新人動画編 2】 

アニメーターの才能 その見つけ方 【新人研修・新人動画編 2】 

 とことん動かすことに向いていない新人アニメーターを見た時、採用試験で向き不向きを完全には判断できないことを、いつも残念に、そして気の毒に思う。


 アニメーターに向いていない新人をいくつかに分類すると、おおむね以下のようになる。
1)基礎力が足りない。動かすこと以前に、絵描きに生まれついていない。
2)画力はあるが、動かすことに興味とセンスがない。
3)画力も動かすセンスも優れているが、本人は動かすことに興味がない。


それぞれのケースをについて述べる。

1)基礎力が足りない。動かすこと以前に、絵描きに生まれついていない。

 これは採用試験の書類審査や実技試験で判断しやすい。そもそも一定水準以上のポートフォリオや、何冊かのスケッチブックを提出できない時点で絵描きではない。
 学生などからよくある質問で「絵を描いたことがないけどアニメーターになれますか」というものがあるが、これは論外。そう言っている時点で、絵を仕事に選ぶという発想がおかしい。
 先に述べたとおり、アニメーターという絵描き集団には、クラスで1番の子だけが集まってくるからなのです。
「スポーツしたことないけど、野球選手になれますか」と同じ質問だと思うんですよね。

 こういう方は絵を描くことがしんどいと思います。無茶をしないで、ほかの仕事をしたほうが自分のよいところが活かせるのではないでしょうか。

2)画力はあるが、動かすことに興味とセンスがない。
 ポートフォリオで傾向は見えることもあるのだが、絵の表現力やセンスを買われて採用されてしまうことが多々あるケースだ。止め絵指向のポートフォリオだが、描かせてみると動きに才能を発揮する場合もあり、採用試験での判断がむずかしい。
 動かすセンスがなかった場合は、1週間の研修で、教える側にはわかってくる。

 しかし、絵がそれなりに描ける人は、人間が動いたときの状態についても観察できている場合が多く、動きのセンスと興味がない、ということを、なにより本人が気づくのに遅れる。
 このタイプは職業絵描きというアニメーター職種にとって、最初のハードルである「きれいな線を引く」ことを軽々とクリアする場合が多いため、早めに指向性の違いを発見するのがむずかしい。
 とはいえ、アニメーター経験は本人の絵描きとしての将来に、有利に働くことがないわけではなく、アニメーターを辞めても傷は浅いといえるだろう。

 最初からイラスト的な細かい絵を描いている人の場合は、「止め絵指向」である可能性が高いと察することもできるが、非常に判断をむずかしくするケースもある。本人の描く絵が生き生きとして楽しく、たいへんアニメーター向きに見え、かつ本人も「動かすのが楽しい」と思い込んでいる場合だ。
 このタイプを採用試験で見抜くことはまず出来ない。本人も勘違いしてアニメーターになっており、仕事をしてみたら「どうしてこんなにつらいのか」と愕然としたりする。周囲でも見抜いてあげられないため、「どうしてこのていどの動きがわからないのか」と理解に苦しむ結果となる。

3)画力も動かすセンスも優れているが、本人は動かすことに興味がない。

 これはもうどうしようもないですね。出来るだけ早く本人の興味に沿った方向へ転換するのがよいと思いますが、なにしろ仕事は出来ているので、周囲が決めるのではなく本人だけが決めることだと思います。
 このタイプは、才能に恵まれているだけにまれですが、いることはいます。見ていると仕事の理解も早く的確で、プロの絵描きが身につける必要のある技術を軽々とクリアし続けていくだけの能力があります。
 したがって仕事では役に立つアニメーターですし、周囲の期待も高いのです。

 だが、「動かすことに興味があるかないか」という、深い深い海溝をどうしても超えることが出来ないため、才能を惜しまれつつ辞める、というパターンで決着します。うらやましいとか、もったいないとか、そういったことは周囲が言ってもしかたのないことですね。
 ほかで適所を見つけてくれたら、本来の才能を活かして、本人にとっても楽しく仕事ができると思います。興味のないことを続けるのはもったいないタイプですよね。


 もしアニメーターになってはみたが、「なんかちがうなー」と思っている方がいたら、「本当にアニメーションに興味があるのかな」と考えてみるといいかもしれませんね。
 初期段階で「動かすこと、動くことっておもしろい!」と思わないのであれば、今後も興味を持てないのではないかなあと。
 若者の時間は貴重です。興味のないことをしていてはいけないと思いますよ。自分がしたいことに向かっていったほうがいいと思う。

 どのみちアニメーターはもともと雇用されてはおらず、辞めたからって何も困ることはありません。永久保証されている公務員と違い、ご家族も全然反対しないはず。
 また興味が出たら戻ってくればいいじゃないか。深刻に考えないで、好きなことをしましょう、とおすすめしたい。






0 件のコメント:

コメントを投稿