2014年7月1日火曜日

振り込み手数料を引かないで


振込手数料について

 個人事業主(=フリーと考えて下さい)のアニメーターのみなさん、請求書の控えは保存してありますか。また古い銀行通帳も保存してありますか。

 もし両方がとってあるのなら、自分が請求した金額と、振り込まれた金額を、比べてみて下さい。当たり前のように「銀行振り込み手数料」が請求金額から差し引かれていると思います。
 これはじつは「違法」なのよん(^^;) 民法では以下のように決まっています。 


※振込み手数料について 
原則として、振込み手数料を賃金から控除することは、賃金全額払いの原則および民法の諸経費債務者負担に反し違法です。

(労働組合と会社とが、いろいろな条件付きで契約をかわしたときなどが、原則が適用されない例ですが、そんなことは通常ないですし、フリーのアニメーターには無関係なので割愛します)


 ちなみに社員は振り込み手数料を引かれていません。もし社員に手数料を引いた賃金を振り込んだら、誰か即座に労働基準監督署へ走ると思います。そういう法的大問題なのです。

 そして現に法が上記のようになっている以上、フリーのアニメーター、演出、仕上げ等々のみなさんも、本来は法に守れていなければなりません。
 でもアニメーション業界は、なんと無法地帯なのですよー。
「振り込み手数料」は引かれるものだと勝手に納得しないで、「これっていいのかな?」とみなさんも考えたほうがいいんじゃないでしょうかね。

 わたしはこの「振り込み手数料をギャラから差し引く件」については「消費税問題」より「あまりにセコイ」と思っています。なぜなら消費税は、制作会社が国へ納める分もありますが、こと振り込み手数料に関しては、すべて会社の利益となるからです。

 わたしの実例を一部挙げます。(金額については、制作会社の取引銀行と、神村の銀行が同じか違うかで出てくる問題で、人によって変わります。ですから多いところが問題ということではないです。ま、全部。問題であることはかわらないんですけどね(^^;))

「振り込み手数料の金額(消費税5%のとき)」
T社  1,050円
S社  840円
S社  315円
G社  735円
W社  420円
T社   525円

 わたしはアニメーターとしては不器用で、キャラを覚えるのに半年かかるため、5カットだけ手伝うというタイプの細切れ仕事は、作監か監督が友人で「キャラ似なくてもいいよー」と言ってくれるときくらいしか基本的にしません。
 通常は同じ1作品をずっと続けます。どうしようもなく重なってしまっても2作品同時進行くらいです。したがって振り込み回数もそれほど多くはないです。それでも年間にギャラから引かれる振込手数料は2万円をこえることがあります。
 (あ、これ通信費か管理諸費で必要経費になるからね。おぼえておいてね)


 ねえ、みんな、「ふ~ん」とか言っていないで「ギャラから2万円も引かれているのか!」と、特に収入200万円台くらいの若者はΣ( ̄ロ ̄lll) こんな顔で驚愕してほしいのよ。
 あきらかにもらえるはずの2万円なんだよ。1,000円のランチが20回食べられる金額なのよん。

 ちなみにアニメ業界以外からの振り込みで、振込手数料を差し引かれたことは一度もありません。それが常識だから、というより差し引いたら違法だからなん・で・す、よっ!(風祭警部的に)



 この振り込み手数料を差し引いて振り込むという問題には、違法性とともに、経理担当が振り込み時になんらの考慮もしていないということがムカッときますのことよ、わたくし。
 それは上記の振り込み手数料金額のばらつきを見ればわかるとおり、どうせ会社が払うお金ではないからと、840円、1,050円など、振り込み手数料が割高になることがわかっていながら、全員分の振り込みを、自社の取引銀行で一括してすませていることです。
 せめて315円の銀行へ行ってほしい。

 個人的には、よく少額の振り込みから1,050円も引けるナァ、と思う。いくらなんでもかわいそうと思わないのかナァ。

 これがもし法を遵守し、振込手数料を差し引かないで支払うなら、経理担当はおそらく、手数料が一番安くなるよう、振込先の銀行とおなじ銀行を何軒もはしごして回るはず。
 
 人の金だと思うと使いっぷりがいいですよね(^^)


 いま現在のアニメ業界スケジュールでは、みなさん多数の作品を少量ずつ請け負っていると思う。そうすると振り込み回数が増え、差し引かれる振り込み手数料の年額はハンパないと思うのですが、どうですか。
 たまには計算して「えっ! こんなに」と思った方がいいかもよ。

 しかも一回の仕事が少量ずつの場合、例えば1万円の中から1,050円(今後は1,080円)ずつ毎回引かれて、それであなたは困らないの? ギャラの1割以上を違法に差し引かれているんだよ。


 いや、えらそうに言って申し訳ありません。じつはこの振り込み手数料の問題は、ずっと違法と知りつつ、わたしもなんらの対策をしてこなかったのでありますm(_ _)m

 なぜかというと、制作会社にしても下請けの有限会社にしても、相当数の振り込みがある中で、たった1枚の振込用紙だけ手数料を会社持ちで経理作業ができるかというと、現実的に考えて、頼んでおいても絶対にミスをすると思うのね。
 消費税ですら、かなりの時間と労力を割かなければ、制作会社の経理が「消費税を払うリスト」に載せてくれない。その上、振込手数料を差し引くのは違法、という話がまともにすすむとは思えなかった。

 また制作会社や下請け作画会社にとって、振込手数料は全体に関わる問題なので経理的影響が大きい。
 いまのようなバラ出し当然状態で作業している場合、原画の人数だけでもテレビシリーズ1本で20人を超えることなどごく普通。その人数分の振り込み手数料を負担することに対して、会社側はかなり腰が引けるはず。

 消費税と違い、「この人には払う」という差別化は、多くの人が納得してくれないであろうことがあきらかだしね。

 でもね!

 振り込み手数料は、ギャラの一部ですから、本当はもらっていいんです。いつか絶対に取り返して下さいね、みなさん。

 最後に、東映アニメーションは振り込み手数料を差し引かない。これは「さすがに老舗の看板は伊達じゃない」とわたしは思ったことを付け加えておきます。









3 件のコメント:

  1. 初めまして。
    当方アニメーター志望なのですが、神村さんのブログを見つけてからなんとも自分の勉強・知識不足に絶望する毎日です。。

    記事を見ていて疑問に思ったことがありまして。
    他社の動画を止め絵一枚だけやったとして、この分の手数料が単価を超えたとしたら、やはり収入はマイナスになってしまうのでしょうか?

    お忙しいでしょうが、ご回答何卒よろしくお願いします。

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  2.  たいへんよい質問ですね。

     じつはそのような事態が発生するとしたら、と、わたしも考えたことがあります。決して起こらないとは言い切れませんし、何回かはすでに起こったことがあるのではないかと思います。

     実際にどうなるかは、おおよそ想像できるのですが、ここはせっかくなので検証してみましょう。
     動画料200円  振り込み手数料210円 と仮定します。するとどうなるか?

    ・経理部がいつものように事務的に支払い作業をすすめた場合、振り込む金額が残らないわけですから、あなたにはなんの連絡もなく、支払いは行われない。

    ・しかし、そうすると、仕事に対して会社がギャラの不払いをしたことになってしまう。それではさすがにアニメーターも「おかしいんじゃないかな」と思うであろうし、制作さんも「いくらなんでも気の毒だ」と考えるでしょう。

    ・すると経理部は制作さんに「そういうことなら現金払いにしましょう」と言うかもしれない。

    ・だが今度は別な問題が発生する可能性が出てくる。もし経理部が事務的に現金払いをする場合、必ず「経理まで取りに来てほしい」と電話してくると思います。

    ・しかし、経理部まで取りに行くための往復交通費が500円程度かかるとしたら、あなたは経理部へ200円-源泉税20円=180円を取りに行きますか? おそらく誰も行かないと思う。

    ・以上のことは、あなたが請求書を渡した制作さんも、請求書の金額を見て一瞬で理解する。そこでおそらくは下記、いずれかの結果に近いものになると思われます。


    1)もし、あなたが継続してその会社の仕事をしていれば「次の支払いとまとめて払うね」と制作さんから言われる。

    2)制作さんが200円を450円くらいに訂正したあなたの請求書を、経理へ回す。
     ギャラ200円+振り込み手数料210円=410円では足りないのです。
     410円-源泉税41円=369円
     369円-振り込み手数料210円=159円となり180円になりません。

    3)経理部で振り込み金額がゼロとされた場合、制作さんがギャラのかわりにご飯をおごってくれたり、お弁当などを買ってくれるかもしれない。あるいは、自分のポケットから200円出し、ギャラとして渡す人もいるだろう。

    4)制作さんが「今回のギャラはこれで」といって、番宣用などの500円か1000円のQUOカードをくれる可能性も大いにある。

     いずれにせよ、あなたには180円以上のギャラか、食べ物か、QUOカードが与えられると思います。これは経理部ではなく、制作部の裁量で行われます。振り込み手数料で赤字になり、あなたがただ働きになるというようなことは、必ず制作さんが防いでくれます。
    以上

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  3. 神村様
    ブログ、楽しみに拝読させていただいております。

    今回の件ですが、「賃金の支払い方の基礎知識」というページを参考になさったのでしょうか?なにはともあれ、今回は神村様のおっしゃっている内容は間違いだと思います。
    アニメーターは多くの場合、雇用契約(いわゆる社員)ではなく、請負契約(外注)として契約して、その報酬が支払われていると思います。
    雇用契約(つまり、社員)の場合は、給料を支払う場合には振込手数料を差し引いて支払ってはいけない、と言う決まりが今回の「振込み手数料を賃金から控除することは、賃金全額払いの原則および民法の諸経費債務者負担に反し違法となります」ということであって、請負契約(一般的なアニメーターなど)の場合は、契約によりますので、また別の次元の話になってくるのでは?と思うのですが、いかがでしょうか?

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